踏切の警報機が鳴る
遮断桿がおりる前に
渡りきるひとがいて
わたしは立ちどまっている
また
こちら側にいる、
と思う
白線をはみ出したら
海へ落ちる
と、誰が言いだしたのか
そんなことも忘れたみたいに
歩いているひとびと
もう区切られることのない日々
そのままでは長すぎるから
自分の好きなところで
はさみで切ろうか
ひとりでに引かれた、線ではなく
今日でさよならは言い尽くした
足跡になる前に
これまでの文章を
わたしは自分の足で跨ぐ
初出:詩誌「乾河」98号(2023年10月1日発行)