ホテルの前に
一台のタクシーが停まる
ヘッドライトに照らされて
しろい色になる細い雨

夏が終わる日
空は地上に落とした点を
数えている

アスファルトが濡れて
ひかっている
すべてがおなじ色になって
あちらとこちらがなくなる

どこに立っていたって良い
それでもこの身体は
線を引くことをやめない

傘や屋根で
濡れないように守っている
わたしたちは
空から落ちてくる雨の色を
知らない





初出:詩誌「乾河」93号(2022年2月1日発行)




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